絶対に許せない児童虐待やネグレクト。その定義とは?
沖縄県の児童虐待やネグレクトに触れる前に、一般的な定義について見ていきましょう。厚生労働省は、児童虐待を以下の4種類に分類し、定義しています。
身体的虐待 | 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など |
性的虐待 | 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフティの被写体にする など |
ネグレクト | 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など |
心理的虐待 | 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など |
なお、平成26年度児童相談所における児童虐待相談対応件数の内訳によると、心理的虐待が43.6%で最も多く、次いで身体的虐待が29.4%。虐待者は実母が52.4%で最も多く、次いで実父が34.5%という結果が出ています。
沖縄県は増加率がダントツで1位。その件数は?
沖縄県が公表している児童虐待件数の推移によると、全国の件数は、2017年度は、133,778件、2018年度は、159,838件、2019年度は193,780件と3年間で1.4倍になっています。< /p>
一方の沖縄県は、2017年度は691件、2018年度は1,100件、2019年度は1,607件と急激に増加。たった3年間で2.3倍にまで急増しています。なお、厚生労働省が2021年に公表した最新の児童虐待件数は、1,835件。依然として増加傾向です。
いじめだけでなく、沖縄県は不登校児童生徒数も多いという結果が出ています。特に高等学校は1位、小学校は2位、とワースト上位に位置しており、深刻な状況であることが分かります。
なぜ愛する我が子を虐待してしまうの?一般論とひとり親家庭などの沖縄県の特殊事情
児童虐待は、ひとつのことが原因ではなく、様々な要因が重なったとき、家族関係が不安定になることで起きてしまうとされています。
親の要因 | ・育児不安(子育てがうまくいかないなどの不安によるストレスなど) ・親自身の虐待された経験(精神的なトラウマ) ・病気や障害(病気等の体調不良による養育力の低下) ・精神的に不安な状態(産後うつやアルコール依存など) |
子どもの要因 | ・育てにくい子ども(かんしゃくが激しい、こだわりが強い) ・病気や障害(先天異常の疾患、発達の遅れなど) |
家族をとりまく要因 | ・核家族化によるもの(育児に関して相談できる人がいない) ・不安定な夫婦関係(夫婦喧嘩が絶えない、ドメスティック・バイオレンス) ・経済的不安(不景気による収入低下、失業など) ・地域からの孤立(近所の人との付き合いが薄い) |
沖縄県のひとり親世帯は、2018年度で33,250世帯。全世帯数に占める割合では、全体の約5%がひとり親世帯でした。また、沖縄県独自の調査によると、ひとり親世帯は、生活費の捻出や子育てに悩んでいる家庭が多く、半数は貯金をしていないという結果が出ています。
沖縄県は、上記の表にあるような要因が特に起きやすい環境であることが伺え、深刻な状況です。
虐待を防ぐためにできること。未然に防げる社会にしましょう。
妊娠や出産、育児期の家庭では、周囲の支えを必要としているにもかかわらず、それが得られないことで児童虐待に至ってしまう場合があります。虐待を未然に防ぐためには、一人で悩んでしまう状況を作らないことが大切です。
そのために、政府は子育て支援世代包括新センターの設置をはじめとした支援事業を行っています。また、近隣住民や親族、学校、医療機関との連携も行っています。児童虐待の予防と早期発見のためには、地域社会で子どもを見守る姿勢が必要です。
まとめ
沖縄県では、児童虐待が急増しています。一人でも辛い思いをする子どもを減らすためには、多くの大人がかかわり、その世帯を助けていくことが必要です。協力して子どもたちの未来を守っていきましょう。