毎年の成人式の様子などから沖縄はヤンキーが多いイメージがありますよね⁉国際通りをリーゼントと袴で彷徨く姿が毎年ニュースで放送されていて、少し前までは爆音のオープンカーでパレードをしていたとも言われています。現在50〜60歳を迎える世代の沖縄の成人式では、自動車を横に真っ二つにしてオープンカーにしていたという話も…
そんなヤンキーにまつわるエピソードを挙げたらキリがいない沖縄ですが、2022年の現在だと絶滅危惧種とも言える沖縄のヤンキーは存在しているのでしょうか。そこで、今回の記事では沖縄のヤンキー事情の現在の様子や背景について詳細をお伝えします!
荒れる「成人式」に令和になっても「短ラン&剃り込み」!沖縄はとにかくヤンキーが多い!
いきなり結論ですが、時代が令和になっても沖縄にヤンキーはそこそこの数存在しています。那覇市内はもちろん、沖縄本島中部、北部どのエリアにも、商店街やショッピングモールどこにいっても「見るからにヤンキー」という方達が普通に歩いています。プチリーゼントや異常に長い襟足など、見かけたら一瞬で分かるレベルで存在しているので、すごく分かりやすいですよ。
特に沖縄の成人式は令和になってもまだまだ派手です。東京など都心の方の成人式の服装と言えば男性はスーツ姿の方が多いと思います。しかし沖縄では袴を着て成人式に参加している方が大半です。これは沖縄に限らないかもしれませんが、その袴がまた派手で「どこで買ってきた?」とツッコミたくなるものなど見ていて面白くすらあります。また、男性だけでなく女性の服装もド派手で、振袖姿に派手な髪色をしており、他県の女性と比較しても、とてもインパクト大ですね。
ちなみに短ラン&剃り込みといった絶滅危惧種も沖縄ではそこそこ存在しています。筆者は沖縄本島北部の高校出身ですが、友人に短ラン&剃り込みはかなりいました(笑)「その短ランどこで買ってきたの?」という質問に対して「普通に制服屋で頼んだ。」と言われたのですが、私の制服や普通のものでした。短ランの入手経路は県外出身者にとっては沖縄七不思議です。
沖縄ヤンキーあるある
以下に沖縄ヤンキーあるあるを記載します!あくまで筆者のまわりで聞く限りですのでご参考までに!(笑)
YSP 「やっけー・しーじゃ・パワー(厄介な・先輩・パワー)」の略
短ラン&学ランの裏側に刺繍
カマハン or 鬼キャン
鳶職に対する憧れ
「ぬー」って言いがち
東京リベンジャーズからオシャレさを抜いた世界観
意外にもピュア
こんなところでしょうか…他にもあったらぜひ教えてくださいね!
ヤンキーはかっこいい!沖縄のヤンキーはスクールカースト最上位
上述のとおり沖縄はヤンキーが多く、ヤンキー文化もかなり浸透しています。これは地方では多くの地域で当てはまると思うのですが、他県と異なるのは沖縄ではヤンキーがスクールカースト最上位にいることがほとんどです。
そのため、沖縄のヤンキーは特に中学時代に女子からめちゃくちゃモテます。周りの男子からも慕われたり、憧れたり、恐れられたりと様々な感情があるものの、注目を浴びる存在として注目されてパワーを持つようになります。このスクールカーストの存在は顕著に表れ、中学生のときには弱い男子は女子から、全く相手にされないことも多々あるようです。
そのような背景もあり、沖縄県ではスクールカースト上位のヤンキーがかっこいいと言われ続けています。短ランを着た見た目が怖いヤンキーが、めちゃくちゃ綺麗なうちなー美人と手を繋ぐ光景は沖縄では頻繁にお目にかかれます。この「ヤンキーが最高にカッコよくてイケてる」という風潮は、沖縄において昔から存在し、世代が変わっても受け告がれているようです。
ちなみに、沖縄のヤンキー界隈は上下関係も厳しく、スクールカースト上位のヤンキーでも先輩には逆らえません。この上下関係はずっと続き、中学高校を卒業して、社会人になっても上下関係は残り続けます。
地元でもカーストや上下関係が大人まで続く。「先輩後輩の上下関係」や「ヤンキーループ」は永遠に。
沖縄ヤンキーの上下関係は高校や大学を卒業して大人になってもずっと残ります。何かをしようとする度に、常に先輩から小言を言われたり、時には邪魔をされたりすることもよくあります。大して行きたくもない飲み会への強制召集は日常茶飯事ではないのでしょうか。
特に沖縄の建設業界で働く若者にはしーじゃ・うっとぅ関係(先輩後輩の関係)というかなり縛りの強い関係にがんじがらめにされています。
しーじゃ・うっとぅ関係とは、沖縄の下層の男の子たちの生活と仕事の基盤にあるもので、徹底した地元社会の上下関係のことです。沖縄に住む若者の生活全体を貫き、支配的で暴力を生む過酷なものだが、沖縄の下層の若者の就職先である建築業の側からすると、作業がはかどるなど相性の良い関係でもあります。
建築業のように明確な上下関係が敷かれる閉鎖的な集団かつ、体力的にも厳しい現場では、何かにつけて理不尽な暴力が振るわれ、それが10代→30代になっても続く傾向にあります。(建設業界に勤める筆者の知人はこのことに激しく頷いていました。)
では、なぜ沖縄の若者(特にヤンキー)は、建設業界で働くのでしょうか。それは沖縄が抱える産業構造に秘密があります。
沖縄では製造業の比率が極めて低いので、下層の若者の就労先としての肉体労働に製造業がなく、どしても建築業に流れがちになってしまいます。同じ建築業での転職(解体→鳶など)したとしても、新職場でのしーじゃに暴力を振るわれる可能性が極めて高いので、それはよりは地元でそのまま働く(=今のしーじゃ・うっとぅ関係を続ける)という、関係から抜け出せなくなってしまうことが往々にてあります。
このように、沖縄の建築業で働く男の子は過酷なしーじゃ・うっとぅ関係と暴力の世界に生きています。彼らの多くは中学時代のメンバーと同じ関係性のまま、年齢を重ねていきます。
沖縄のヤンキー文化やしーじゃ・うっとぅ関係についてはこの本でも詳しく解説しています。学術的な調査もされており、沖縄のリアルなヤンキー文化を垣間見ることができますので、よければご一読ください。
沖縄にヤンキーが多いのは、高い貧困率や離婚率など社会的な背景が原因
先ほども触れましたが、沖縄は本土と離れている島嶼県であるため、観光業以外に大きな産業がありません。これが雇用の減少に繋がっており、社会格差や貧困の原因にもなっています。権力を持つ人はより存在を強め、上下関係という階級社会が強まってしまうことがしばしば生じてしまいます。
貧困の家庭は子供も荒れやすく、ヤンキーグループに入ることが多いです。そのため、そのまま、建設業界に入り、低賃金で学生時代の上下関係がずっと続く職場で働かなければならなくなります。自分が家庭を持ったとしても、満足のいく生活ができず、自分の子供も荒れてしまうこともあります。ここでは込み入った話はしませんが、このような負の連鎖がずっと続き、沖縄のヤンキーがなかなか減らない原因なのではないのでしょうか。
まとめ
今回、沖縄のヤンキー事情について解説させていただきました。令和になった今でも、成人式では短ランや剃り込みをした見るからにヤンキーは沢山いて、スクールカーストでは上位となっている。そして、学生時代の上下関係は大人になっても続いていきます。そんな沖縄にヤンキーが多い理由としては、社会格差や貧困が原因になっています。この問題も解決しないと沖縄のヤンキーはなかなか減っていかないと思われます。最後に誤解にならないように補足しますが、沖縄のヤンキー(もしくはヤンキーのように見える人)の中には、優しい人、しっかりしている人も沢山います。ただ、ヤンキーとして生きていくことが必ずしも幸せではない、他の道もあるかもしれない。そんな風に考える人は少しでも今回の記事がお役に立てば幸いです。