寒さとは無縁で楽しげな雰囲気が漂う沖縄。本州とは時間の流れ方が違うというような表現をされることも多い沖縄県ですが、意外にも離婚率は全国1位という結果に!
これから沖縄での結婚を考えている人、結婚した人からすると不安な結果となっています。本当にそんなことある?と疑ってしまう人もいるのではないでしょうか。また、高い離婚率の背景には沖縄固有の特性などがあるのでしょうか。本記事ではそんな気になる沖縄県の離婚率の高さの原因を徹底解説していきます。
データから見る沖縄の離婚率
人口あたりの離婚率
どのくらい沖縄の離婚率が高いのか。(令和元年 「都道府県別出生・死亡数と婚姻・離婚件数」)を元にデータでみていきます。このデータで説明している離婚率とは人口1000人あたりの離婚発生率になります。少しややこしいですが、言い換えるなら、人口1,000人中、何人(何%)が離婚しているかというデータです
まずは全国的な離婚率をみると1.69%となっています。次に沖縄では2.52%と圧倒的に多いのが分かります。沖縄県の離婚率の高さは2019年(令和元年)まで17年連続1位になる数字となっており圧倒的な高さと言えます。では、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
順位 | 都道府県 | 離婚率(%) |
---|---|---|
1位 | 沖縄県 | 2.13 |
2位 | 大阪府 | 1.7 |
3位 | 福岡県 | 1.68 |
4位 | 宮崎県 | 1.68 |
5位 | 北海道 | 1.65 |
6位 | 香川県 | 1.6 |
7位 | 高知県 | 1.59 |
8位 | 鹿児島県 | 1.58 |
9位 | 和歌山県 | 1.55 |
10位 | 愛知県 | 1.53 |
11位 | 岡山県 | 1.52 |
12位 | 大分県 | 1.5 |
13位 | 群馬県 | 1.49 |
14位 | 兵庫県 | 1.49 |
15位 | 愛媛県 | 1.49 |
16位 | 三重県 | 1.47 |
17位 | 広島県 | 1.46 |
18位 | 熊本県 | 1.46 |
19位 | 福島県 | 1.44 |
20位 | 埼玉県 | 1.44 |
21位 | 山梨県 | 1.44 |
22位 | 徳島県 | 1.44 |
23位 | 栃木県 | 1.43 |
24位 | 東京都 | 1.43 |
25位 | 神奈川県 | 1.42 |
26位 | 静岡県 | 1.42 |
27位 | 鳥取県 | 1.42 |
28位 | 茨城県 | 1.41 |
29位 | 千葉県 | 1.41 |
30位 | 京都府 | 1.41 |
31位 | 青森県 | 1.39 |
32位 | 奈良県 | 1.38 |
33位 | 長崎県 | 1.38 |
34位 | 岐阜県 | 1.36 |
35位 | 宮城県 | 1.35 |
36位 | 山口県 | 1.35 |
37位 | 滋賀県 | 1.34 |
38位 | 佐賀県 | 1.31 |
39位 | 長野県 | 1.29 |
40位 | 岩手県 | 1.27 |
41位 | 島根県 | 1.25 |
42位 | 山形県 | 1.16 |
43位 | 秋田県 | 1.15 |
44位 | 福井県 | 1.15 |
45位 | 石川県 | 1.14 |
46位 | 新潟県 | 1.13 |
47位 | 富山県 | 1.08 |
参照元:e-Stat 政府統計の総合窓口『人口動態調査 都道府県別にみた年次別離婚率(人口千対)』
離婚件数÷婚姻件数で計算した離婚率
離婚率の推移
離婚件数÷婚姻件数で計算した離婚率
続いては、都道府県毎の離婚件数÷婚姻件数で計算した離婚率を確認しましょう。この離婚率は近年よく言われる、「3組に1組が離婚する」という数字の算出方法です。
離婚件数÷婚姻件数の離婚率においては、沖縄県は最上位の高知県に続いて第2位に位置していますね。全国平均は35%程度なので、極めて高い数値であることが分かりますね。沖縄県の夫婦はほぼ2組に1人が離婚するということがこの数値から垣間見えます。
順位 | 都道府県 | 離婚率(%) |
1位 | 高知県 | 46.1% |
2位 | 沖縄県 | 45.9% |
3位 | 和歌山県 | 44.5% |
4位 | 宮崎県 | 43.8% |
5位 | 北海道 | 43.5% |
6位 | 青森県 | 42.7% |
7位 | 岩手県 | 41.5% |
8位 | 愛媛県 | 41.1% |
9位 | 秋田県 | 40.8% |
10位 | 山口県 | 40.6% |
11位 | 徳島県 | 40.4% |
12位 | 大分県 | 40.2% |
13位 | 福島県 | 40.1% |
14位 | 鹿児島県 | 40.1% |
15位 | 三重県 | 39.3% |
16位 | 鳥取県 | 39.2% |
17位 | 奈良県 | 39.1% |
18位 | 熊本県 | 38.9% |
19位 | 香川県 | 38.6% |
20位 | 茨城県 | 38.5% |
21位 | 福岡県 | 38.1% |
22位 | 長崎県 | 38.0% |
23位 | 栃木県 | 37.8% |
24位 | 静岡県 | 37.6% |
25位 | 山梨県 | 37.1% |
26位 | 佐賀県 | 37.1% |
27位 | 山形県 | 36.8% |
28位 | 群馬県 | 36.8% |
29位 | 大阪府 | 36.6% |
30位 | 兵庫県 | 36.6% |
31位 | 岡山県 | 36.5% |
32位 | 千葉県 | 36.3% |
33位 | 岐阜県 | 36.3% |
34位 | 広島県 | 36.2% |
35位 | 埼玉県 | 35.8% |
36位 | 宮城県 | 35.3% |
37位 | 京都府 | 35.2% |
38位 | 長野県 | 34.9% |
39位 | 島根県 | 33.7% |
40位 | 神奈川県 | 33.1% |
41位 | 福井県 | 33.0% |
42位 | 新潟県 | 32.7% |
43位 | 愛知県 | 32.3% |
44位 | 滋賀県 | 31.9% |
45位 | 富山県 | 31.2% |
46位 | 石川県 | 29.6% |
47位 | 東京都 | 27.5% |
参照元:総務省統計局『人口動態調査 人口動態統計(2018年)』
上記では「人口あたりの離婚率」「離婚件数÷婚姻件数で計算した離婚率」と言う2つの異なる離婚率について、確認いたしました。沖縄県は、人口あたりの離婚率では全国トップ、離婚件数÷婚姻件数で計算した離婚率では全国2位と極めて高く、総合的な離婚率はトップの都道府県というのは間違いなさそうです。
それでは、ここからは沖縄県の離婚率が高い要因について考察していきましょう。
離婚率が高い要因について考察
できちゃった婚が多く出生率が高い
沖縄での出生率の高さは例年ニュースでも取り上げられるほど有名なものとなっています。2020年10月の地元新聞『沖縄タイムス』によると沖縄出生率が全国の7.0%を遥かに上回る10.4%と1位であることを報道しています。なんと沖縄の出生率は46年連続全国トップとなっています!約35分に1人誕生という凄まじいスピードで新たな命が誕生しています。
そんな中で、結婚期間よりも妊娠期間の方が長い人の割合も多く、できちゃった結婚が多いこともデータが出ています。なんとかなる。という楽観的な県民性というイメージが高い沖縄ですが、その考え方が悪い方向に現れており、思ったようにいかず離婚率を上げてしまう理由になっています。生まれてる赤ちゃんのためにも、後先をあまり考えない「できちゃった婚」は、沖縄県民全員で考えていく必要があると考えます。
参照元:沖縄タイムス『沖縄、35分16秒に1人誕生 出生率46年連続全国トップ』
低所得で失業率も高い
沖縄県は離職率、低所得でも有名なエリアです。その理由として様々なものが挙げられていますが、第三次産業への依存が挙げられています。第三次産業は、一般的に労働時間が長く、給与が少ない職種とされています。また、繁忙期と閑散期の差が激しいので、常に人材を抱えることが難しいので、正規雇用ではなく派遣社員やパート・アルバイトなど非正規雇用がどうしても増えてしまいます。観光地という地域柄その第三次産業への依存による労働環境の悪さが問題視されています。
さらに、近年コロナウイルスの影響によりさらに経済は悪化しています。女性は早くに子どもを産むため、育児のため働けない、男性はまだ遊びたいのに金銭的に厳しいなど、夫婦間の問題へと繋がるケースが多く、金銭面に問題があり不満が募り離婚をする夫婦が多いようです。
親や親戚誰かが助けてくれる沖縄社会
離婚後に周りに助けてくれる人が沢山いるという環境が簡単に離婚を考えてしまう理由でもあるとされています。沖縄では「ゆいまーる」という助け合いの精神が強く根付いています。そのため、自分ひとりで頑張る必要がない分、離婚後の不安が少ないとも言えます。
また、沖縄県内ではシングルマザーが祖母・母・娘と三世代に渡って継続していることも珍しくありません。言い方は悪いかもしれませんが、片親なのが当たり前でそれを家族がが助けてくれるということも普通の感覚になっている可能性もあります。優しい・あたたかい沖縄特有の助け合いの精神が思わぬところにも影響が出てしまっているのかもしれません。その一方で、「ゆいまーる」の精神が様々な利点を生んでいることも間違いではありません。
沖縄県民が離婚をしないために必要なことは?新潟県を参考に考えてみましょう
新潟県の人口あたりの離婚率は1.2%と、沖縄県の離婚率2.5%と半数程度となっております。どちらも東京や大阪といった大都市とは異なり、地方と呼ばれる県でありますが、離婚率の開きはなぜ発生するのでしょうか。あくまで私見にはなりますが、新潟県が持つ特性を考えてみましょう。
新潟県では「杉の木と男の子は育たない」という言葉があります。こちらでも県民性が関係しているようです。「男の子が育たたない」という言葉の裏に隠れているのは「女性の我慢強さ」です。昔から女の子は家族の世話をするものという風習のある新潟県の女性は「しっかり者で世話上手」とされてきました。そのため、夫婦間で問題が起きづらく離婚率も低いのではないかと考えられています。
しかし、沖縄男子にそのような女性が向いているとも限りません。新潟女になれば離婚しないということでもありません。また、賛否はあると思いますが、沖縄県の女性は比較的働き者・しっかり者が多く、男性に一生懸命尽くしてくれる女性が多いと言われることも多いです。そうなると、問題があるのはうちなー(沖縄)男児ではと、同じく沖縄県出身の身として考える部分もあります。
県民性や育ちの影響は少なからず、大事なのは「ある程度の我慢」と「分かり合うこと」なのかもしれません。夫婦間がリスペクトし合うことが、円満な結婚生活を続けるためには必要だと思います。
まとめ
【沖縄県の離婚率の高さの原因】として①できちゃった婚が多く出生率が高い、②低所得で失業率も高い、③親や親戚誰かが助けてくれる沖縄社会といったことを紹介してきました。
青い海と穏やかな日常、離婚とは正反対にみえてしまう沖縄県ですが、そのような穏やかさがルーズさとなり、少なからず離婚率という形で表れています。しかし、人間誰しも良い部分と悪い部分を持ち合わせています。良く使うか、悪く使うかは自分次第です。どの地域でも幸せな結婚生活を送れるかどうかは自分次第なのかもしれません。
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この記事の執筆者
沖縄県にある高校を卒業後、都内の大学に進学、ベンチャー企業やコンサルティングファームを経て、現在は沖縄を拠点に活動するフリーランスデジタルマーケター。琉球大学大学院で沖縄経済についても研究中。マーケの仕事と沖縄経済研究を専門にしています。沖縄の社会問題に関心があり、歴史や制度的な問題が複雑で実態が掴みづらい沖縄県が抱える問題をなるべく数字を出して発信しています。