南国の楽園「沖縄」実はうつ病発生率が多い?!その理由は様々な要因を分析

南国の楽園「沖縄」実はうつ病発生率が多い?!その理由は様々な要因を分析

沖縄 うつ病

こんにちは。「南国の楽園」と言われ、明るいイメージがある沖縄ですが、実はうつ病の方が多いと言われています。「なんくるないさー」とストレスフリーなイメージがある沖縄。うつ病とは無縁そうな社会ですよね。それでは、なぜ沖縄はうつ病の方が多いのでしょうか?

そこで今回の記事では、日本でも屈指の南国の楽園である沖縄にうつ病が多い理由について考察していきます。

沖縄について詳しく知りたいという方はぜひ、この記事を参考にして、沖縄の新たな側面について知ってください。

ストレスフリーで「何くるないさー」沖縄。意外にも高い自殺率やうつ症状

沖縄と言ったら「何くるないさー」という言葉が有名ですよね。何とかなるに近い意味で、沖縄の方は楽観的で陽気な人が多いイメージがあると思いますが、実はうつ病の方や多かったり、自殺率が高い傾向にあります。

2011年の死亡者1千人あたりの自殺者数を見ると、沖縄県は約35人(約4%)となり、全国平均である2%より高い数値となっております。このデータは意外に思われる方が沢山いらっしゃるのではないでしょうか。特に女性の自殺率は2010年以降急激に上昇しており、深刻な問題となっております。

自殺の原因として、健康問題と家庭問題、経済問題など様々なことが考えられます。また、女性の方の多くがホルモン量の減少する更年障害や出産後にうつ病になる人が増えています。

2021年現在では自殺率は全国で19番目と順位は下がったものの、16.5%と全国平均の16%よりまだ高い水準にあります。最近はコロナウイルスの影響もあり、うつ病や自殺、精神疾患の悪化の相談件数が増加している傾向があります。特に沖縄は観光業を主要産業としているため、飲食業や観光業者の方からの相談が増加しています。コロナウイルスの影響で移動が制限され、沖縄経済が苦しくなったことが原因と考えられ、影響はかなり大きいと思われます。

■参照元
死亡者1千人あたりの自殺者数ランキング

人口あたりの心療内科・精神科数は全国トップの数。その要因とは?

これも意外に思われるかもしれませんが、沖縄県は人口あたりの「精神科医師数、心療内科診療所数」が全国トップになっています。人口10万人あたりの医療施設従事精神科医師は全国平均約11人対して、沖縄は約18人とかなり高い数値となっており、10万人あたりの心療内科診療所数も全国平均約0.4院に対して、沖縄は1.4院と3倍以上の病院数となっています。内科や皮膚科などその他の病院数は全国平均と大きな乖離はないため、心の病気を取り扱う病院数の大きさは沖縄県の特徴であり、精神・メンタルケアのニーズの高さが垣間見えます。このように、沖縄はなぜ診療内科・精神科数が全国的に見て多いのでしょうか。次でその要因を考察してみましょう。

■参照元
厚生労働省『第2回 精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会』

やはり影響が多い沖縄戦。負の影響には子供や孫にも。

自殺率や精神疾患率が高いと考えられる沖縄ですが、その要因として、沖縄の歴史中でも影響が大きい太平洋戦争時の「沖縄戦」が考えられます。沖縄戦では住民を巻き込んだ苛烈な地上戦により、多くの人が亡くなり、沖縄は多大な被害を受けました。県内人口の約25%が失われたとも言われております。

時は流れm戦争経験者の数は減っているものの、沖縄戦の記憶が消えるわけではありません。平和となった現代でも当時の記憶は語り継がれています。しかし、多くの戦争経験者は当時の記憶を思い出したくないという人がほとんどです。当時の悲惨な光景を思い出すのは心苦しいことでしょう。ですので、心に大きな傷を抱えている人がいるのも現状です。戦場での体験が頭から離れない戦争神経症やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされ、現在も苦しんでいる方が沢山います。そして、その沖縄戦の辛い負の影響は子供や孫にも伝わります。沖縄の辛い過去が現代にも影響を与えているのが現状です。

今の40、50代の方達は戦争経験世代を親に持っています。沖縄戦終了後の復帰期で育っているので、比較的貧しい環境の中で、生活をしてきたことが考えれれます。とにかく生きるの必死だった世代かつ、両親が心の傷を負っていることが多かったと思われるので、その傷が意識しないうちに遺伝しているかもしれません。

貧困率や失業率など経済的な困難さも

自殺率やうつ病が多いのは貧困率や失業率などの経済的な困難さも影響しています。沖縄はもともと主要産業が観光業であることや工業生産が低いことなどの原因により、経済自体が成長しにくい傾向にあります。また、沖縄の主要産業である観光産業は繁忙期・閑散期で忙しさが全く異なるので、企業が常に人を抱えたがらず、非正規雇用がどうしても多くなってしまうという問題もあります。非正規雇用は生活があまり安定しないため、どうしても不安を抱えてしまう傾向にあります。

さらに最近ではコロナウイルスによる、活動自粛により、沖縄の観光業や飲食業は大きな打撃を受けました。これにより、失業率も増え、経済的な困難が増加しています。沖縄は本土から離れているため衣料品といった生活コストが高くなり、住民の生活は楽ではありません。また、最低賃金も全国最下位が慢性的に継続して苦しい状態が続いています。こういった経済的な理由から沖縄の貧困率は高く(特に子供の貧困率は全国平均の2倍程度)、人々は生活に苦しみ、最終的にうつ病になったり、最悪の場合自殺をしてしまったりということに繋がってしまいます。沖縄が抱える経済的な諸問題は早急な改善が必要です。

■参考書籍
加藤彰彦ほか『沖縄子どもの貧困白書』

コロナでも影響大「飲食・観光業者」は特に大変

そして、最近ではコロナの影響でも特に生活が苦しくなっています。特に飲食・観光業者の方は大きな影響を受けています。上記でも述べてきたように、沖縄の主要産業は観光業ですので、コロナの影響で行動の自粛がされたことによる影響がかなり大きいようです。

観光業に関しては、国も「Go toキャンペーン」などを計画してくれましたが、例年と比べると観光者数は明らかに減少しており、2020年は過去最低の落ち幅となりました。コロナ前の2019年比では70.4%減とコロナの影響の大きさがわかると思います。

観光業へのダメージにより、沖縄での失業率等も上がり、生活が苦しくなった人も増えました。コロナによって沖縄の人の生活はさらに苦しくなってしまったのです。コロナ禍において、政府各機関における相談件数は増え、多くの人がストレスを抱え、精神的に苦しんでいます。沖縄は対面でのサービス提供が多いサービス業のウエイトが高く、産業構造的にも被害をうけやすいので早くコロナが収束することを願うばかりです。

まとめ

今回の記事では、南国の楽園と言われる沖縄ですが、実はうつ病が多く、その理由について解説していきました。うつ病の原因としては経済的困難が原因として考えられます。沖縄は収入が低いのに、生活コストが高いため、貧困率が高くなってしまいます。生活が苦しくなり、精神的なダメージを受け、うつ病、最終的には自殺までつながっていきます。他にも過去の「沖縄戦」の影響で心に大きな傷を抱えた人も多くいます。辛い過去が精神病へと原因となることもあります。そして最近では、コロナの影響により、さらに生活が苦しくなり、多くの方が失業してしまったりしました。ワクチンの普及やコロナが収束し、気兼ねなく旅行できる時が早く訪れてほしいですね。

               

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