【2024年最新版】沖縄は最低賃金が日本一低い?その理由を徹底考察!

【2024年最新版】沖縄は最低賃金が日本一低い?その理由を徹底考察!

沖縄 最低賃金

自然豊かで綺麗な海に囲まれていて、観光地として人気のある沖縄県。最近では、沖縄県に移住したいと考える人も増えてきている沖縄県ですが、最低賃金が日本一低く、収入が厳しいという声も頻繁に上がります。沖縄現地で生活している人、移住したい人にとって生活する為には、ある程度の収入が見込めないと難しいため、沖縄県の最低賃金が程度なのか気になりますよね。

そこで今回は、沖縄県の最低賃金が日本一低いと言われている理由について、最新のデータを元に詳しく解説していきたいと思います。沖縄県の経済問題に関心がある人には、必見の内容となっているのでぜひ参考にしてみてくださいね。

2024年現在沖縄の最低賃金はいくらなのでしょうか?

沖縄県は、全国的に見ても最低賃金が低いと言われています。そのようなこともあり、最低賃金が改定されると、そのたびに話題になることも多いです。そこで今回は、沖縄県の最低賃金が低い理由というテーマで、詳しく解説・考察をしていきたいと思います。では、実際に沖縄県の最低賃金を見てみましょう。

下図は都道府県別の最低賃金の最新版のデータになります。2021年時点での沖縄県の最低賃金は、820円という事が分かりました。2021年の賃上げまでの最低賃金は792円と800円を切っておりました。

【令和3年度地域別最低賃金改定状況】

都道府県名 最低賃金時間額【円】 賃上げ前
北海道 ¥889 ¥861
青  森 ¥822 ¥793
岩  手 ¥821 ¥793
宮  城 ¥853 ¥825
秋  田 ¥822 ¥792
山  形 ¥822 ¥793
福  島 ¥828 ¥800
茨  城 ¥879 ¥851
栃  木 ¥882 ¥854
群  馬 ¥865 ¥837
埼  玉 ¥956 ¥928
千  葉 ¥953 ¥925
東  京 ¥1,041 ¥1,013
神奈川 ¥1,040 ¥1,012
新  潟 ¥859 ¥831
富  山 ¥877 ¥849
石  川 ¥861 ¥833
福  井 ¥858 ¥830
山  梨 ¥866 ¥838
長  野 ¥877 ¥849
岐  阜 ¥880 ¥852
静  岡 ¥913 ¥885
愛  知 ¥955 ¥927
三  重 ¥902 ¥874
滋  賀 ¥896 ¥868
京  都 ¥937 ¥909
大  阪 ¥992 ¥964
兵  庫 ¥928 ¥900
奈  良 ¥866 ¥838
和歌山 ¥859 ¥831
鳥  取 ¥821 ¥792
島  根 ¥824 ¥792
岡  山 ¥862 ¥834
広  島 ¥899 ¥871
山  口 ¥857 ¥829
徳  島 ¥824 ¥796
香  川 ¥848 ¥820
愛  媛 ¥821 ¥793
高  知 ¥820 ¥792
福  岡 ¥870 ¥842
佐  賀 ¥821 ¥792
長  崎 ¥821 ¥793
熊  本 ¥821 ¥793
大  分 ¥822 ¥792
宮  崎 ¥821 ¥793
鹿児島 ¥821 ¥793
沖  縄 ¥820 ¥792
全国平均額 ¥930 ¥902

参照元:厚生労働省『令和3年度地域別最低賃金改定状況』

そもそも最低賃金とは、雇い主が労働者に対して、必ず支払う必要のある賃金の最低金額を定めた制度の事を指します。これは、「最低賃金法」という法律に基づいて、国が定めているものになります。最低賃金は、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金とに分かれていて、地域別に定められている最低賃金以上の賃金が支払われていない場合は、雇い主が罰せられる事になります。

また、この最低賃金は、全ての労働者に適用されるもので、雇用形態は関係ありません。そのため、アルバイトでもパートでも同じ扱いになります。ただし、特定(産業別)最低賃金に関しては例外とされていて、詳しくは厚生労働省が運営している特設サイトで確認できるようになっています。

■参照元(沖縄県)
厚生労働省『令和3年度地域別最低賃金改定状況』

厚生労働省『令和3年度 特定最低賃金の審議・決定状況』

沖縄の最低賃金はなぜ全国ワースト1位が継続?

さて、続いては、なぜ沖縄が全国ワースト1位を継続しているかについて考察していきましょう。以下は1995年から2021年までの沖縄県の最低賃金の推移になります。ほんの15年ほど前までは600円程度という金額は驚きですね。当時の方々の生活の苦しさが垣間見えます。近年では上昇傾向にありますが、まだまだ最低賃金が低い感は否めません。

沖縄の最低賃金の推移データ(2005年〜2021年)

年度 最低賃金時間額
2021年/令和3年度 820円(+18円)
2020年/令和2年度 792円(+2円)
2019年/令和元年度 790円(+28円)
2018年/平成30年度 762円(+25円)
2017年/平成29年度 737円(+23円)
2016年/平成28年度 714円(+21円)
2015年/平成27年度 693円(+16円)
2014年/平成26年度 677円(+13円)
2013年/平成25年度 664円(+11円)
2012年/平成24年度 653円(+8円)
2011年/平成23年度 645円(+3円)
2010年/平成22年度 642円(+13円)
2009年/平成21年度 629円(+2円)
2008年/平成20年度 627円(+9円)
2007年/平成19年度 618円(+8円)
2006年/平成18年度 610円(+2円)
2005年/平成17年度 608円(+2円)

参照元:沖縄の最低賃金の推移データ

実は、沖縄県の最低賃金が安いのには理由があります。単に、沖縄県が田舎だからというわけではなく、儲かっている会社の数が少ない事や失業者の数、倒産している会社の数や求人を出している会社の数など、様々な指標から考えて行くと、現在の金額が妥当という結果になるようなのです。では、具体的な理由を見ていきましょう。

中小企業が多く、大企業がないから

1つ目の理由としては、沖縄県には中小企業が多く、大企業が少ないという特徴があります。観光やサービス関係が多く、参入障壁がすべて低い実態が多い事もあり、起廃業率がおのずと高くなるというわけです。競合が参入しやすいため真似されやすく、つぶし合いが起き価格戦略に走りやすいという傾向もあります。

沖縄県内での製造業の比率が少ないから

2つ目の理由としては、沖縄県内での製造業の比率が少ないからというものがあります。沖縄大学の研究によると、製造業の割合が高い都道府県の場合、1人あたりの平均所得も高いという結果が出ています。特に、製造業の中でも精密機械などは付加価値が高いという事もあり、このような工場などに従事する人の賃金は、必然的に高くなりますよね。沖縄県では、県内で製品を製造した場合、出来上がった製品を運ぶための輸送費がかかるため、もともと製造業が盛んではありません。こうした理由から、沖縄県での最低賃金が思うように上がっていかないという事に繋がるのでしょう。

沖縄ならではの県民性によるもの

そして3つ目は、沖縄県ならではの県民性が影響しているのではないかというものです。本来、最低賃金が徐々に上がるためには、いかに事業に付加価値を付けて向上させていくかがカギとなります。しかし、沖縄県の県民性なのか、競争や資本主義的な意識、ビジネスをロジカルに展開していくという企業が少ない傾向にあるため、なかなか事業を改善、向上させていくという姿勢が少ないという部分が影響しているようですね。

正規雇用も給料が低い?

では次に、沖縄県の正規雇用も給料が低いのかについて、解説していきましょう。現在の日本の、都道府県別で見る1ヶ月の平均賃金は、全国で約307,700円となっています。それに比べて沖縄県の場合は、251,300円で、47都道府県で40位という結果になっているのです。こうした結果からも分かる通り、平均年収で考えると東京と沖縄では、約60万円以上の差があるという事が分かります。

では、どうしてこのように正規雇用でも給料が安いのでしょうか。これは、やはり沖縄県ならではの風習も関係しているようです。沖縄県では、昔から近隣に住む人や地域との結びつきが非常に強いため、学校行事や地域の行事への参加が当たり前と言う部分があります。こうした風習がある中で、サービス業が多い沖縄県では、賃金や待遇にそれほど差がない正規雇用と非正規雇用では、非正規雇用で働く選択肢をとる人が増えているのです。こうした背景から、企業側もわざわざ正規雇用の給料を、積極的に上げようとする所は少なく、給料が安い状態が続いているというわけなのですね。

特に賃金が安い職種はあるの?

それでは最後に、沖縄県で特に賃金が安い職種はあるのかについて、解説していきたいと思います。

結論から言うと、沖縄県で最も賃金が安い職種として挙げられるのが、「サービス業」です。このサービス業には、「自動車整備」「ビルメンテナンス」「警備」「コールセンター」「人材派遣」なども含まれているのですが、ここまでの解説でお分かりの通り、サービス業は沖縄県の主要業種とも言えますよね。その業種が、最も賃金が安いという結果となっているのです。また、沖縄県の求人情報誌などでも見かける事の多いサービス業は、人手が足りていないのにも関わらず、給与種準は低いという事も分かりました。

さらに、沖縄県の好況をけん引している観光関連産業でも、同様に平均賃金を下回っているのが現状です。観光関係産業には、主に「宿泊」「飲食」「土産小売り」「レンタカー」「食品製造」などが含まれます。こうした、沖縄県内の一大産業である業種の、労働生産性の向上に向けた取り組みは、以前よりは増えてきている印象ですが、いまだに労働集約型の産業が多い沖縄県では、それを具体的に実現していくのは、やや困難であるという見方もあります。引く手あまたで、活気のある産業であることは確かですが、人手のかかる産業であり難しいのが現状です。

まとめ

さて今回は、沖縄県の最低賃金が日本一低い理由について、詳しく解説してきました。沖縄県の、代表される産業でもあるサービス業ですが、これが賃金が一番安いという事実には驚きましたね。多くの観光客を迎える為、人手が必要な業種でありながら、賃金は安い状態が続いている業種であり、それは沖縄県ならではの県民性も、影響しているという事が分かりました。

県内の賃金向上の為には、製造業の発展が不可欠でもあります。しかし、沖縄県の立地上、工場にまつわる周辺産業の発達が出来づらいため、どうしても賃金の安い業界に偏ってしまうという特徴があるのです。今後、少しでも沖縄県の賃金が上がる事に期待したいですね。

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この記事の執筆者
岸本強資

沖縄県にある高校を卒業後、都内の大学に進学、ベンチャー企業やコンサルティングファームを経て、現在は沖縄を拠点に活動するフリーランスWebマーケター。琉球大学大学院で沖縄経済についても研究中。マーケの仕事と沖縄経済研究を専門にしています。 webマーケは全般対応可能でpythonや統計(計量経済学)を組み合わせた自動化や定量分析・運用が差別化ポイント。研究テーマは「沖縄経済」「生産性」「計量経済学」のあたり。沖縄の社会問題に関心があり、歴史や制度的な問題が複雑で実態が掴みづらい沖縄県が抱える問題をなるべく数字を出して発信しています。
               

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