沖縄の農家の年収はどの程度?沖縄農家が儲かるために必要なこととは?

沖縄の農家の年収はどの程度?沖縄農家が儲かるために必要なこととは?

沖縄 農家 年収

統計データから見る農家の実態!沖縄農家の平均年収!

 沖縄県では、サトウキビやパイナップルなど様々な農作物が栽培されています。沖縄県は自然豊かで温暖な気候を生かした農業が行われていますが、沖縄県の農家は儲かっているのでしょうか。今回は、内閣府沖縄総合事務局が公表している「平成28年度 沖縄農林水産業の情勢報告」を出典として、沖縄農家の実態を紹介します。

まず、農家の中で農業だけで生計を立てている専業農家は全国で約33%いる一方で、沖縄県では約53%と多い傾向にあります。農業をしている人の平均年齢は65.3歳。全国平均は66.1歳ということで、比較すると若いものの、高齢者の割合が高い状況です。そんな農家の気になる年収は317万円と、全国平均496万円の約64%です。国税庁が公表している「平成27年分民間給与実態統計調査結果について」によると、給与所得者の平均給与は420万円なので、沖縄県の農家は儲かっているとは言えません。しかも、沖縄県の農家の年収317万円は年金や農業以外の収入も含めての金額なので、厳しい財政状況であることが分かります。

ただでさえ農業は高コスト。さらに沖縄は台風など気候要因も

農業は営んでいくうえで、様々な費用がかかります。植え付けや収穫などで使うトラクターなどの機械は、動かすための燃料代がかかります。また、害虫対策で農薬を使ったり、よく育つように肥料を使ったりもします。育ったものを梱包する費用もかかりますし、出荷するために輸送費も必要です。

また、農業は自然を相手にした産業です。天候不順や動物による荒らし被害などが起こった場合、育てていた農作物に被害が及ぶことがあります。特に沖縄県は、台風の接近が多く、天候の影響を受けやすい地域です。気象庁のデータによると、1951年以降最高で1年に15回もの台風が接近しています。一生懸命作って良い農作物を育てることができても、1回の台風ですべてが出荷できない状態になってしまうこともあるのです。

島嶼(とうしょ)性も大きな問題。高い輸送費がコストを圧迫

沖縄県は東西約1000km、南北約400kmに及び、160の島々から構成されています。人が生活している47の島のうち、沖縄本島と橋などでつながっている島はわずか9島。残りの37島は離島として飛行機や船での行き来が必要です。その分、多くの輸送費がかかってしまい、コストが高くなってしまいます。離島からすると、首都圏で販売するのも沖縄本島で販売するのも、多額の輸送費がかかってしまうということには変わりないことになります。多くのコストがかかればかかるほど、自分の利益が少なくなってしまうため、沖縄県の農家の年収が低いことにも納得できます。

6次化こそがカギ!差別化を図り高収益を目指すことが必要

ここまで統計データから、沖縄県の農家の年収は全国よりも低いこと、その原因は、多くの島々から成る沖縄県の島嶼性が高い輸送費につながっていると分かりました。そこで、沖縄県では、6次産業化を進めています。6次産業化とは、1次(農林漁業)と2次(工業)と3次(商業)を融合することで、新しい産業を形成しようとする取組のことです。6次産業の「6」は、1×2×3=6でそれぞれの産業を掛け合わせて新たな価値を生み出すことを意味しています。例えば、漁師が獲った魚を干物にして販売することや、農家が採れた野菜を使って販売することも6次産業です。しかし、最近ではその地域の多様な資源を生かした特色ある6次産業化が進んでいます。6次産業化が進むことは所得の向上につながります。その理由は、土地での消費(地産地消)の増加で遠方への輸送費が削減されること、規格外で出荷できない農作物も加工して使い食品ロスを減らせることがあげられます。
農林水産省では、六次産業化・地産地消法という法律に基づき、総合化事業計画の認定を進めています。令和3年10月29日現在、沖縄県の認定件数は61件です。認定されている事業者は、沖縄本島だけでなく、宮古島や石垣島、与那国島などの離島も含まれています。

例えば、農業生産法人株式会社マルシェ沖縄では、6次産業化したことにより、売上げが3200万円増加しました。6次産業化する前は、業務用商品を生産し、原料となる紅イモの調達が不安定であるという課題を抱えていました。そこで、農家と連携し、紅イモを安定して調達できる体制を整えました。また、業務用商品だけでなく、家庭向け商品やお土産、贈答品向けの商品を開発しました。その結果、沖縄県の土産物として認知度が上がり、大型スーパーの総菜コーナーでは定番商品になりました。こうして売上げ増加につながったうえ、抱えていた紅イモの調達についての課題は、農家との連携によって解決しました。

まとめ

沖縄県は、自然の豊かさと温暖な気候を生かした農業が行われています。平成27年度の農家の年収は全国と比べて低い傾向にありました。しかし、6次産業化によって沖縄県の課題である高い輸送コストを解決できるようになりました。6次産業化によって所得が上がる農家が、これからどんどん増えていくことでしょう。

               

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