沖縄の失業率は全国ワースト1位?失業率が高い理由を徹底解説

沖縄の失業率は全国ワースト1位?失業率が高い理由を徹底解説

「沖縄の失業率が高い」「沖縄の失業率は〇年連続ワースト1位」などこんなニュースが取り上げられることもしばしば…沖縄といえば観光地で盛り上がっているイメージがあるのになぜ?と思われる方も多いのではないでしょうか。本記事では沖縄県の失業率が高い理由を徹底解説していきます。

データから見る沖縄の失業率

沖縄は失業率では全国ワースト1位とされています。総務省統計局の「労働力調査」(2020.12.2更新)によると令和2年10月現在の完全失業率の状況は全国3.1%なのに対し沖縄県では4.0%を推移しています。

この失業率の高さには、給与面・福利厚生の労働環境面の悪さがかなり影響しているのではないかと言われています。その中でも際立って目立つのは若年層(15〜29歳)の失業率です。全国では4.9%である失業率は沖縄県では6.5%まで上昇しているのです。

特に高い若者の失業率

特に高い若者の失業率の高さの裏に隠れているのは新規学卒者の低い内定率です。沖縄は県内就職志向が根強く、未だに新規学卒者の約7割が県内就職を希望しています。限られた就職先の中でこの県内就職希望者が多いということも相まって失業率の高さを後押ししている状況となっています。
ですが、それだけが失業率の高さの原因ではありません。会社説明などの就職準備に対するアンケート調査では、沖縄の学生の「就職意識」の弱さの実態も明らかになっています。

失業率が高い要因

職場とのミスマッチ

沖縄県での失業率の高さの大きな原因とされているのがこの「職場とのミスマッチ」です。ミスマッチというと様々な面がありますが、主には給与面・労働環境の悪さが挙げられます。

総務省沖縄県「H27毎月勤労統計調査」では全国の給与総額の月平均が313.8千円であるのに対し、沖縄県では241.2千円となっています。さらに、勤労時間の月平均に関しても全国では144.5時間であるのに対し、沖縄県では147.9時間とあります。労働時間は長いのに、給与が見合っておらず、職場と労働者の中でミスマッチが起こってしまいます。これは、沖縄の観光業が多いという地域特性が原因のひとつとなっています。

観光地としても有名な沖縄は第三次産業の比重が非常に高いです。そのため、サービス業や卸売業などの求人は多数存在しますが、求職者が求める職業は一般事務や公務員・生産工程・労務などの職業であることが分かっています。この求人と求職の不一致が起こる事で、人材不足なのに失業率が上がってしまうという需要と供給のミスマッチにも繋がっています。

雇用の場の不足やサービス業依存の経済構造

「雇用の場の不足」に関わる沖縄独特の経済構造も失業率を上げている大きな理由のひとつに挙げられています。沖縄県では物流コストが高い・関連企業の集積がないなどの理由から雇用人数が比較的多い製造業などの第二次産業が根付かないとされています。

沖縄県「労働力調査(平成20年平均)」では第三次産業(サービス業・卸売業など)が77.5%を占めている中で第二次産業(製造・建設業)は16.7%にしか満たないという結果が出ています。第二次産業のような多くの人材を必要とする産業が根付かないために全国に比べて就職希望者に対して求人が少ないという状況が続いているのです。

しかし、最近では沖縄の特徴ともいえる多くの第三次産業にも大きな原因が生まれています。沖縄県の第三次産業は観光によって支えられているため、昨今の国際問題ともなっているコロナウイルスによる外出自粛ムードにより大きなダメージを受けているのです。このコロナという状況下の中、沖縄県ではこのようなサービス業の依存により、さらに失業率を上げてしまうことになっています。

現状回復のための取り組み

上記のような失業率の高さを問題視している行政は次のような改善の取り組みを行っています。

  • 学卒者の就業意識の向上のための運動
  • 新規学卒者向けに県外企業合同説明会や面接などを積極的に行う
  • ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進
  • 求人と求職のミスマッチを減らすための職業訓練やマッチング事業の強化

沖縄県はこの状況を重く受け止め様々な形で失業率の向上を目指しています。そのため沖縄県HPには様々な就職支援事業が立ち上がっていますので気になる人はHPを覗いてみるのもいいかもしれません!

まとめ

沖縄県の失業率が高い理由は様々なことが挙げられます。その中でも今回は「職場とのミスマッチ」「雇用の場の不足やサービス業依存の経済構造」上記の理由について詳しく解説をしていきました。

観光地として有名な魅力的な地域だからこその経済構造が背景となり、失業率の高さへと影響していたのです。一方で沖縄県はこの失業率の高さの改善策として県外企業への説明会・面接の斡旋事業・ワークライフバランスの推進など様々な就職支援事業を打ち出しています。気になった方はぜひ沖縄県HPなどで確認してみてください!

               

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