沖縄県の中卒・進路未決定者は全国ワースト
中学卒業後に進学も就職もしない「中卒・進路未決定者」。沖縄県教育庁の統計によると、2011年から2020年までの過去10年間で、沖縄県では4081人にも上ることが分かっています。
卒業者全体に占める割合では、2014年は全国平均0.9%に対し、沖縄県では3.2%と全国の4倍。2020年では全国平均0.7%に対し、沖縄県では1.4%と全国の2倍という結果が出ています。この10年間で減少傾向にあるものの、非常に高い割合が続いており、全都道府県の中でもワーストの状況です。
沖縄県教育庁が独自に行った調査では、進路未決定の理由で最も多いのが「(生徒と)進学や就職の意思確認ができなかった」が22.2%、「就職希望だが就職先が未定」が19.2%でした。最も多かったのは「その他」が31%で、「通信制高校への進学を希望」「進学や就職の意思なし」「進学以外の進路の意志」などがありました。沖縄県の中卒・進路未決定者の数は、依然深刻な状況が続いています。
背景には貧困・学力不足など沖縄が抱える様々なな要因が
沖縄県の中卒・進路未決定者は全国ワーストですが、沖縄県教育庁義務教育課は、中学卒業後の進路未決定の原因を「学力不足や進路決定の遅さ、目的意識の低さに加え、経済的な理由も影響している」と分析しています。
沖縄県は、特に経済的に厳しい家庭が多く、子どもの貧困率も高い傾向にあります。内閣府は、平成29年に「沖縄県の子どもの貧困に関する現状と取組」の中で、以下の指標を公表しています。
指標 | 沖縄県 | 全国 | 順位 |
子どもの相対的貧困率(%) | 29.9 | 13.5 | 全国平均の約2倍 |
1人当たり県民所得(千円) | 2,391 | 3,394 | 全国ワースト |
非正規の職員・従業員率(%) | 43.1 | 38.2 | 全国ワースト |
母子世帯出現率(%) | 2.6 | 1.4 | 全国トップ |
生活保護率(‰) | 26.6 | 16.4 | 全国下から3位 |
就学援助率(%) | 24.2 | 14.7 | 全国下から2位 |
高校中退率(%) | 2.3 | 1.3 | 全国ワースト |
これらの結果から、内閣府は沖縄政策の中で重要政策の一つとして、子どもの貧困対策に向けた取組を進めています。
高校進学後もの中退率は全国一位。高校中退により中卒化してしまうケースも
沖縄県教育委員会が公表している「平成30年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果等の概要」によると、高等学校における中途退学者数は、国公私立高等学校で1,281人でした。
中途退学の年度推移表によると、全国平均は1.3~1.4%なのに対し、沖縄県は1.8~2.2%と高い水準にあります。中途退学は結果的に中卒扱いとなるため、沖縄県の中卒者の割合を挙げる要因になっています。
まとめ
沖縄県は中卒・進路未決定者が多く、その要因には学力不足や進路決定の遅さ、目的意識の低さの他に、経済的な理由も影響していると分かりました。素行や学力不足から定員内不合格になる現状や中途退学する生徒も多い沖縄県。子どもの未来のために、早期解決が求められます。