沖縄独特のローカルルール「模合」相互補助・庶民金融など気になる実態を解説!

沖縄独特のローカルルール「模合」相互補助・庶民金融など気になる実態を解説!

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海や自然、歴史など沢山の魅力がある沖縄県。そんな沖縄県には、他の都道府県には無い独自の文化があり、生活に浸透しているものもあります。その中でも今回は、親戚、知り合いでの助け合い精神で行われている「模合」という文化についてご紹介いたします!

「模合」とはどういう文化なのか!?

いきなりですが、私は沖縄出身、沖縄育ちです。そのため、よく県外の方に「沖縄出身だからお酒よく飲むんでしょ?」とよく言われます。(笑)実際には全然飲みません…というより飲めません。(笑) しかし、2022年現在も「沖縄県出身=お酒が強い」というイメージを持たれている方は多くいらっしゃいます。

そんな沖縄県ですが、親戚や親しい友人の間でコミュニケーションや金銭の相互補助を目的に毎月一定の金額を出し合い、飲み会を行う文化が存在します。
それが「模合」です。

例として、模合参加者が3人、お金(会費)が月1万円だった場合、月の会費の合計は1万円×3人で3万円になり、集まった金額は以下のように分配されます。

  • 1ヵ月目の会費3万円をAさんがもらう。
  • 2ヵ月目の会費3万円をBさんがもらう。
  • 3ヵ月目の会費3万円をCさんがもらう。

月々で会費をもらう人(親)が変わり、参加人数分もらい終えたら、再度同じ順番で回す。というような流れになります。会費として払ったお金に関しては、必ず自分に戻ってくるため、損をすることはありません。

■参照元
しんすーブログ 「沖縄の飲み会文化「模合(もあい)」とは?仕組みや注意点を解説」
美ら木海 「沖縄の変わった風習 模合(もあい)とは??」

なぜこのような文化があるのか!?

沖縄県独自の文化である模合ですが、なぜこのような文化があるのでしょうか?毎月会費を納めるため、模合の目的は「金銭的な理由」であると、小さいときから筆者は感じていました。また、沖縄県は全国的に見ても全国的に見ても、平均年収が低く、貧困率が非常に高い県です。そういった面でも、「模合」を行うことで、金銭面での助け合いを行っていると思っていました。

しかし蓋を開けると、実際にはお金ではなく、親族や仲間と集まって語り合うことがメインであり、お金はその口実となっています!実際に筆者もコロナウイルスが

蔓延するまで、親戚で月に一度集まり、模合を行っていましたが、過去の話や現在の話をして、凄く楽しい時間を過ごした記憶があります。

模合の文化は18世紀以前から既に存在していたそうです。銀行が高利子だった頃、銀行からお金融資(借りる)してもらうことを避けていた人達が誰にでもできるように立てた制度が2022年現在も続く模合のルーツと言われています。

全国的に見ても収入が低く、貧困層が多いと言われている沖縄県。しかし全国一の高い出生率であり、家計に厳しい状況で子育てをしている方も少なくはありません。そのような中で、この模合という制度は生活を少しでも楽にするための大事な文化です。

■参照元
Re:okinawa 「なぜ沖縄は貧困率が高いの?歴史や地域特性などを交えてご紹介!」
しんすーブログ 「沖縄の飲み会文化「模合(もあい)」とは?仕組みや注意点を解説」
美ら木海 「沖縄の変わった風習 模合(もあい)とは??」
明日は未来だ! 「沖縄独特の風習「模合(もあい)」について徹底解説!」

「模合」をすることによるメリットは!?

模合を行うことによって様々なメリットがあります。その1つが「金銭面での相互補助」です。生活をする上でお金は非常に大切なものになります。しかし前節でも紹介した通り、沖縄県は収入が低い県であり、生活している上でゆとりが無い時もあります。その際の金銭的な助けとなるのです。

2つ目は「親族・友人との関係が深まる」です。多くの人が社会人になって学生時代の友人と会う回数が減っていると思います。また、現代はスマートフォンが普及して、実際に会わなくても文面や声だけで人と連絡することが増えました。しかし、実際に対面で会う事でその人の表情だけではなく、悩みや体調などその人を深く知ることができるはずです。そういった部分でも沖縄の人々は他県と比べ、人と人の距離が近く、助け合いの精神が強いことがわかります。

さらに、近年では、沖縄県への移住者は増加傾向にあります。沖縄に身内がいない移住者は移住者同士で模合を開いたりすることもあるようです。県外出身の方が移住して、沖縄の文化を取り入れてくれることは、県民からしても非常に嬉しく感じ、沖縄の文化を誇らしく思います。

suumoジャーナル 「月1の飲み会が条件!? 沖縄独特のつながり「模合(もあい)」とは?【全国に広がるサードコミュニティ3】」

模合」を行う際の注意点は?県民性も踏まえてご紹介

前節までに模合の良さについてお話してきましたが、模合をする上でリスクもあります。それが、「会費の持ち逃げ」です。親族間で持ち逃げというのは可能性として少ないとは思いますが、友人や知人はいくら仲が良くても他人であるため、稀に会費の持ち逃げが発生するケースもあります。また、距離が近いが故に、友人や知人を信じすぎてしまい、「友だちだからいつか返してくれる」という気持ちになってしまうことも県民性としてもあるようです。

その他の注意点としては、模合に参加できない場合でも、必ず会費は納めなければならないというルールがあります。参加できない月に会費を払わない場合、その月の受け取る額が少なくなってしまうため、受け取る側の人が損してしまいます。模合は人と人を繋ぐ大切なものでありますが、お金が関わってくるため、絶対的な信頼関係が無ければ成立しません。そのため、ルールに関しては参加者全員で話し合い、損する人が絶対に出ないシステムを構築することが必要です。

沖縄人が東京に住むと「模合(もあい)は必要なのか?2つの理由が浮かんだ!」
模合から見る沖縄社会

まとめ

いかがだったでしょうか?模合は、2022年現在も続いている沖縄独自の大切な文化です。沖縄県特有の文化である模合ですが、損も得もないため、中には「貯金した方が良いのではないか?」と仰る方もいらっしゃいます。実際はその通りですが、模合は金銭的な相互補助の意味も含めているため、一回で大きなお金を受け取ることができる部分は貯金と大きく違う所でしょう。

お金を貯めることは、簡単に見えてとても難しいことです。また、何かを始める時にもお金が必要となります。お金が理由で、自分自身が挑戦したいことや目標を諦めている方は是非、模合、挑という形から様々な事に挑戦をしてみてはいかがでしょうか?本当の仲間なら自分の挑戦している事を本気で応援してくれるはずです!また、自分の挑戦を仲間に話す事によって、他の人にも影響を与えることができると筆者は考えています。

この記事の執筆者
花城春貴

沖縄県にある高校を卒業し九州地方の医療の大学に進学後、4年初期で途中退学。
その後は関西で自動車製造に従事後、現在は沖縄県でIT企業に勤務しながら個人で「マンゴー生産・販売」や「金融事業」に携わる。
さらに、「アプリ・HPの作成」、「webマーケ」について実践を重ねながら勉強中。
自身の異なる業種の経験から、沖縄県が抱える問題・盛んな業界の両方について、様々な目線で分析し発信しています。
               

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