四季がはっきり分かれている日本。
気温や気候、育てる物の特徴など環境が違う中で、野菜やフルーツなど作られる農産物が各地方ごとに違う事も特徴の一つであります。
その中でも沖縄や南国地域でしか作れない特定の農産物について、収穫量や生産量など、様々なデータを用いて、沖縄県ではどのような農産物の栽培に適しているのかどうかを紹介していこうと思います。
1.沖縄の有名な農産物を紹介!
まずは、沖縄で有名な農産物について紹介していきます。
南国特有の農産物と聞かれて、どのような物を思い浮かべるでしょうか??
代表的なものと言えば、「マンゴー」、「パイナップル」、などが思い浮かばれると思います。
その他にも、「パッションフルーツ」、「ドラゴンフルーツ」、「スターフルーツ」など、なかなか市場では見る事の出来ない農産物があります。
ここまでは、主にフルーツを紹介してきましたが、野菜の生産も盛んです。
例えば、「ゴーヤー」や「へちま(ナーべーラー)」などこちらも寒い地域ではなかなか栽培が難しい野菜があります。
このように沖縄県では、フルーツ、野菜、どちらも特有な農産物が多いのも特徴です。
次の章では、実際に農業を始める際の必要なものについてお話したいと思います。
2.農業をする上で必要資金はどれくらい?
筆者の実家がマンゴー農家であり、現在も父がマンゴーを作り続けています。
実際に筆者も3年ほどマンゴー生産を手伝っており、農業をする上で課題というものに気が付きました。
農業を始めるにあたり、絶対に必要となるのが「土地」「農具」「ノウハウ」の3つだと考えています。
1)土地
まず初めに「土地」についてです。
「土地」が無ければ農産物を作る事が出来ません。
しかし、実際に土地を買おうとするとかなりの値段になってしまい、その時点でかなり参入障壁が高くなります。
ちなみに、沖縄県で農地を購入しようとした場合、場所によって変わってきますが、
平均で1坪=0.5万円の価格(基本的に1坪=「畳、二畳」の広さ)であり、平均専有面積が402坪(テニスコート5~6個分)であるため、農地を購入するためには、平均で大体200万円必要になります。
そのため、土地だけでもかなりの資金が必要という事がわかります。
2)農具
続いて、農具についてです。
土地を確保した後に必要になるのは土作りです。
しかし、土を作るにはトラクターなど土を耕す機械が必要になります。
トラクターの値段は「メーカー」や「馬力」、「新車」、「中古」など様々な要因で値段が変わってきますが、中古で低い馬力(20馬力未満)でも、30~50万円の値段がかかってしまいます。
せっかく土地を確保したのにも関わらず、さらに農具にお金がかかってしまっては金額の面でかなり悩む事が多くなると思います。また、トラクターは年数を重ねる事に劣化していくため、これに修理代も見積もるとかなりの値段になってしまいます。
農具はトラクターだけではありません。著者の実家のマンゴー農園の例を挙げると、マンゴーを生産するためには,ビニールハウスを使用します。ビニールハウスもトラクター同様に年数を重ねると劣化してしまいます。ハウスの数や大きさにもよりますが、筆者のマンゴー農園のビニールハウスは20~25mのハウスが7棟あり,このハウスのビニールを張り替えるのに、20万円弱の金額がかかりました。
また,沖縄では台風の頻度が高く台風対策をしっかりしていない場合には、かなりの影響を受けてしまうため、このような不可抗力の部分でも頭を悩ます原因となります。
自然や劣化などもしっかり計算にいれた上で農業を行わないといけないため,かなり厳しいお仕事だと筆者も考えています。
※「トラクターの価格はいくらぐらい?トラクターの価格の相場を色んな角度から調べてみた」より作成
3)ノウハウ
続いてのノウハウについてです。
新規就農者にとって「ノウハウがない」事も悩みの原因となります。
最近は本だけでなくネットやyoutube、SNSなどでも情報発信されている方が多い為、情報に困る事はありません。
しかし、実際に農産物を生産すると、生産方法だけではない新たな悩みが出てきます。
それが、「害虫」や「自然災害」など作物を栽培する上で必ずといっていいほどついてくる部分です。
「害虫」に関しては,目に見える物から目に見えない物まで様々な害虫がいます。
目に見える害虫であれば、対応出来る部分はありますが、目に見えない害虫は栽培している農作物に影響が出始めてから気づいてしまうため、そうなった場合には手遅れになってしまいます。
通常ベテランの農家さんはそのような害虫にも対応するため、専用の農薬を使用して対応しますが、専用の農薬も年間通して使用するため、その作業としてもかなりの時間が必要になります。
また、「自然災害」に関しても、沖縄県は「台風」の被害が非常に多い為、台風対策などの知識だけではなく、台風が過ぎ去った後の対応など、作業量的や時間配分の管理にかなり苦労します。
そのため、そういった悩みを共有出来るベテラン農家さんとの繋がりも非常に大切になってくると筆者は考えています。
3.農業を継続してできる人ってどのくらい?
前節では、農業を始める上での問題点,課題点についてお話ししました。
この節では、このような問題がある中で「どのくらいの人数の方が農業を継続出来ているか」についてお話していきたいと思います。
実際に農林水産省が出しているがデータにはこのようなデータがあります。
新しく農業を始める方(以後「新規就農者」と表示させて頂きます。)は年間で約55000人いるとの事です。しかしその後、約5年の間に30%方が農業を辞めているというデータがあります。そうなると5年後には約38500人しか継続しておらず、その数年後にはさらに農業を辞められる方が増えていく事が予想されます。
この記事の中でお話した「土地」「農具」「ノウハウ」の3つが、新規就農者の参入の高い障壁となっており、かなり深刻な課題として挙げられます。
筆者の父は建設業の管理職から農家に転身していますが、元々祖父の農業を手伝っていた事ことで「土地」「農具」「ノウハウ」の3つの条件をクリア出来ている状態で農業を始める事が出来ています。
下記の表で新しく農業を始める上での問題点についてまとめました。
参入障壁の高さ
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離農率の高さ
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・土地・道具・ノウハウ・運転資金など必要なものが多い。 ・必要な自己資金:約600万円 |
・毎年の新規就農者5.5万が5年以内に30%離農。 |
4.農家は儲からない?
よく「農家は儲からない」という話を耳にした事がありませんか?
育てている農作物によって変わってくるとは思いますが、実際に沢山の農家さんにお話を聞いたところ、
「農作物を栽培するのはいいが、売り方がわからない」
とベテランの農家さんが口を揃えて仰っていました。
実際に父が育てているマンゴーの収穫時期に近くの農作物販売所に行って見たところ、数えきれないぐらいの沢山の農家さんがマンゴーを販売していました。
そうなると、沢山の数の農家の方が同じ場所で販売を行い、お客さんの数と販売されている農作物の数(量)とのバランスが崩れる事が予想できます。その結果、商品が売れ残ってしまい、良質な商品を作っても利益を取り逃がしてしまうケースが農家さんが儲からない理由であると考えられます。
また、その取り逃がした利益を補填するために農作物を複数育てている農家さんも一定数いらっしゃることも筆者の調べでわかりました。
農作物を複数栽培する事は一見、収入が増えそうに見えますが、複数栽培するということは単純に仕事の量が増えるため、農家さんに肉体的な負担がかかってしまいます。さらに、その分「肥料」や「農具」などの経費もかかる事や1つの農作物に対して携わる時間が減る事で、栽培している農作物の質が落ちてしまう事も予想されます。この事から負のスパイラルが起こり、実際に収入が大きく増える事は稀にしか起こりません。
このような状況を脱するために、しっかり自分達の商品が注目されるような環境を作る事が必要であると考えられます。例としては「ネット販売」を行う事やSNSを活用した情報発信などを行う事が挙げられます。
実際に筆者の実家のマンゴー農園はネットショップを活用したり、SNSを利用した情報発信を行っている事で、ありがたいことに新たなお客様の確保やリピートして下さるお客様が年々増えています。
この事から、農家として利益を上げるためには、複数の農作物を作成するのではなく、しっかり自分の商品のファンになって下さる方を増やしていく必要があると考えられます。
5.まとめ
いかがだったでしょうか??
今回、農家さんから実際にお話を聞かせて頂いて、農家さんの苦労を知ると同時に農家さんだけではなく第一次産業に携わっている全ての方々へのリスペクトが今まで以上に深まりました。
少しマイナスな内容も含まれていましたが、マイナスの部分に対しての解決策について様々な方法が考えられると感じたため、これから農業を始めたい方に是非参考にして頂けると幸いです。
最後まで読んで頂いた皆様本当にありがとうございました。