【2022年最新版】沖縄の学力は毎年常に最下位?最新学力データを交えて現状を解説!

【2022年最新版】沖縄の学力は毎年常に最下位?最新学力データを交えて現状を解説!

沖縄は全国学力テストで万年最下位だった。テータを踏まえて詳しくみていきましょう!

日本では毎年全国学力テストが小学6年生と中学3年生を対象として行われています。そのテストで沖縄県は万年最下位という喜ばしくない結果が出ていました。

なぜ、万年最下位なのでしょうか?理由として

①沖縄県自体の収入の低さ
②親の大学進学率の低さ
③小学校低学年での教育不足

という事が挙げられています。

まず、①の「沖縄県自体の収入の低さ」についてです。

沖縄県は日本で唯一の陸続きの県でないため、精密機械を扱い、輸送費にお金のかかる製造業の比率が非常に少ない事が現状として挙げられています。
沖縄大学の研究結果では、製造業の比率が高い都道府県での一人当たりの平均年収は高い事が証明されており、製造業が少ない沖縄県では収入UPには繋がらない可能性が高いと考えられます。
また沖縄県には中小企業が多く、その多くが観光やサービス関係の企業になっています。
沖縄県は観光地として有名である事は確かなのですが、観光・サービス関係のお仕事が多いと、その分価格競争などが起きる可能性が高いため、企業自体が潤う事ができず、結果として従業員の収入も上がらない悪循環が生まれてしまいます。

続いて②の「親の大学進学率の低さ」についてです。

2020年の「沖縄の高校生の進路実績」のデータでは、大学・短大への進学率が40.8%の結果でした。県として念願の40%を超える事ができました。
さらに、少し古いですが、2008年は大学・短大への進学率が31.0%であったため、その時代と比べるとかなり高くなっている事がわかります。
しかし、全国平均が55.8%であるため、まだまだ進学率としては低い事が現状です。
これは否定的な意見ではないという事を承知の上でのお話なのですが、沖縄県では若年層で結婚・離婚を経験された方が全国に比べて多くいらっしゃる事からも、進学率が低いという事が考えられます。

続いて、③の「小学校低学年での教育不足」についてです。

上記の問題を解決するために、沖縄県では、「学力向上対策」に取り組んできましたが、しばらくの間は全国最下位を脱出する事ができませんでした。
2002年には、学習内容の3割削減などもあり、「低学力」の状況に加え、「学力低下」の問題が重なってしまった事でも学力不足に大きな影響を与えてしまいました。

とはいえ、近年の教育現場も毎年少なからず変化があります。最新のデータとともに沖縄の学力に関する現状を見ていきましょう。

■参照元
Re:okinawa 「なぜ沖縄は貧困率が高いの?歴史や地域特性などを交えてご紹介!」


Re:okinawa Re:okinawa 「【2022年最新版】沖縄は最低賃金が日本一低い?その理由を徹底考察!」


Re:okinawa Re:okinawa 琉球大学学術リポジトリ 「沖縄の低学力問題に関する実証的研究(2)」

教育改革により成績が向上!沖縄の教育現場で一体何が

思わしくない学力テストの結果で有名だった沖縄ですが、実は近年その現状が変わりつつあります。そのきっかけとなったのは、沖縄で県教育長を務めた諸見里明さんの存在でした。

教育長になったばかりの当時、諸見里さんは全国最下位というテストの結果報告を受けながら、とあることに気付いたそうです。それは、リーダーシップの強い校長が就任して学力向上に強力に取り組んでいる学校は、全国平均を上回る結果を出しているという事実でした。全てとはいかずとも多くの校長がかわれば沖縄全体も変わるだろうと考えた諸見里さんは、教育長として直接県内の小学校1つ1つに足を運び、データを示し授業を見てアドバイスをするなどしたそうです。その熱心な様子から諸見里さんの本気度も伝わり、各学校では歓迎ムードで迎えられることも多くなっていったとのことでした。

このような熱意ある元県教育長の取り組みから、沖縄の学力は徐々に向上していきました。文書では受け流されてしまうとして、直接足を運んで尽力した諸見里さんの取り組みなしにはきっとこのような成果は得られなかったでしょう。

■参照元
Re:okinawa 東洋経済 「沖縄、全国学力テスト「最下位脱出」の光と影」

「小学生」2019年度全国学力テストで最高5位に

教育改革といった取り組みの効果もあって、小学生学力テストでは2014年度に沖縄は最下位を脱出し24位になっています。その後も20位→13位→21位→17位→6位と好成績を残していることから、偶然ではなく確実に実力が付いてきていることが伺えるでしょう。2019年度のテストでは国語が都道府県別で5位に入るなど、その結果は上位グループといって差し支えないほどに上昇しました。

目に見えて結果が好転していることから昔よりも子どもたちの学力が向上していることはもちろんですが、教員たちの取り組む姿勢も変化しているであろうことが伺えます。沖縄の学力は低いと言われてきましたが、そのような現状は徐々に変わりつつあると言えるのではないでしょうか。

■参照元
Re:okinawa 国立教育政策研究所 「教育課程研究センター「全国学力・学習状況調査」」


Re:okinawa Education Career 「2019年の全国学力テスト都道府県別正答率ランキング!1位は秋田・石川」

「中学生」は未だに最下位が継続

しかしそんな小学生の上々とも言える結果に対し、中学生では未だに最下位が継続するなど悩ましい一面もあります。国語、数学、英語の3教科全てで低い正答率となっており、まだまだ改善の余地があると言わざるを得ません。

ただ、一方で何も変化がないかというとそういうわけではありません。確かに順位に注目してみると最下位であることは間違いないのですが、他の都道府県との差というところも気にしてほしいポイントになります。実は前年と比較すると他県との差は縮まってきているなど、少なからず成長している様子も伺うことができるのですね。小学生に続き、中学生も最下位を脱出する日はそう遠くないのかもしれません。

■参照元
Re:okinawa 国立教育政策研究所 「教育課程研究センター「全国学力・学習状況調査」」


Re:okinawa Education Career 「2019年の全国学力テスト都道府県別正答率ランキング!1位は秋田・石川」


Re:okinawa Education Career 「2018年の全国学力テスト都道府県別正答率ランキング!1位は石川」

学力テストだけが全てでは無い。課題はまだまだ山積み

学力テストという目に見える結果や数字で沖縄の現状を見てきましたが、もちろん学力テストが全てというわけではありません。テストに関しては上昇してきている結果がある反面、まだまだ苦しい部分もある現状ですが、今後徐々に良い方向へ向かっていく可能性は十分にあるでしょう。

その一方で沖縄が抱える問題は学力テスト以外の部分にもあります。沖縄は子どもの相対的貧困率が全国平均の約2倍であるなど、学びの環境に繋がる問題も存在しています。単純な子どもの努力だけではどうにもならない問題からも、目を背けないようにするべきではないでしょうか。

学力向上を目指すということは何かしら教育現場での変化もあるでしょうし、先生たちの負担などにも目を向けなくてはいけません。順位や点数といった目に見えやすいものばかりに注目しがちですが、広い視野をもって現状が良くなるよう努めていくことも大切ではないでしょうか。たくさんある課題にどのように取り組んでいくのか、その姿勢が問われそうです。

■参照元
Re:okinawa 「なぜ沖縄は貧困率が高いの?歴史や地域特性などを交えてご紹介!」

まとめ

沖縄の学力の現状は、昔とは少し変わりつつあると言えるでしょう。実際結果として全国学力テストで順位が向上している部分もありますし、小学生の結果に関しては目を見張るものがあります。中学生は苦しい結果が続いていますが、全国との差は縮まってきているので今後に期待ですね。

ただ子どもの学ぶ環境に繋がる貧困の問題や、教師の負担など目を背けてはいけない問題があるのも事実です。学力テストが全てではないのはもちろんですが、悪いよりは良いほうがいいという意見も否定できるものではないですよね。子ども達の将来のために、よりよい社会へと改善されていくことが望ましいでしょう。

この記事の執筆者

花城春貴

沖縄県にある高校を卒業し、九州地方の医療の大学に進学しますが、4学年初期でメンタルブレイクし途中退学。その後は関西圏で車の製造の仕事を経て、現在は沖縄県でIT企業に勤めながら、個人で「マンゴーフルーツの生産・販売」や「外国為替事業」に携わっています。さらに、「アプリ・HPの作成」、「webマーケ」について実践を重ねながら勉強中です。自身の異なる業種の経験から、沖縄県が抱える問題・盛んな業界の両方について、様々な目線で分析し発信しています。
               

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